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東京地方裁判所 昭和45年(特わ)154号 判決

国籍

中国(台湾省台北市中山区民生路四五巷九街二一号)

住居

東京都渋谷区宇田川町二七番四号

職業

遊技場・喫茶店経営

陳恭子

一九二六年九月一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官五味朗出席のうえ審理をとげ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役四月及び罰金四百五十万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、東京都渋谷区宇田川町二七番四号(昭和四五年一月一日住居表示実施前は同都同区栄通一丁目二番地)に居住し、同所ほか一箇所において遊技場、および喫茶店を経営しているものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ

第一、 昭和四一年分の実際課税所得金額が二八、二二九、一〇〇円あつたのにかかわらず、昭和四二年三月一二日東京都渋谷区宇田川町一番三号(ただし前記住居表示実施以前は同都同区宇田川町二八番地)所在所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、課税所得金額が一三、八八八、四五八円で、これに対する所得税額が六、二二〇、二二〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同年分の正規の所得税額一四、五一九、〇三〇円と右申告税額との差額八、二九八、八一〇円を免れ

第二、 昭和四二年分の実際課税所得金額が三〇、四八三、〇〇〇円あつたのにかかわらず、昭和四三年三月一四日前記所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、課税所得金額が一七、二五四、〇〇〇円で、これに対する所得税額が八、〇五八、五〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同年分の正規の所得税額一五、八七〇、九〇〇円と右申告税額との差額七、八一二、四〇〇円を免れ

第三、 昭和四三年分の実際課税所得金額が二三、八三八、〇〇〇円あつたのにかかわらず、昭和四四年三月一二日前記所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、課税所得金額が一二、四七五、〇〇〇円で、これに対する所得税額が五、四三〇、五〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同年分の正規の所得税額一一、八三五、二〇〇円と右申告税額との差額六、四〇四、七〇〇円を免れ

たものである。

(なお、修正貸借対照表は別紙一ないし三のとおりであり、税額計算書は別紙四のとおりである)

(証拠の標目)

一、 被告人の当公判廷における供述

一、 被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一一通

一、 被告人の検察官に対する供述調書三通

一、 被告人提出の上申書二通

一、 川越寿樹の外国人登録原票写

一、 斉藤清亮の証明書

一、 門屋功の大蔵事務官に対する質問てん末書二通及び検察官に対する供述調書一通

一、 須貝浩一の大蔵事務官に対する質問てん末書及び検察官に対する供述調書各一通

一、 頼己末の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一、 徐彰夫、陳英成、岩下卓、田舎顕雄、畑久二郎の大蔵事務官に対する質問てん末書各一通

一、 大蔵事務官作成の調査書一三通

一、 小池辰男、宮田勝次、井出東平、中川浩次、田舎顕雄、奴間稔人、松田修の証明書各一通

一、 河村良彦、乾利忠、薗部喜久男の証明書各二通

一、 小田一雄の証明書三通

一、 錦織操子、内屋功、池田和平、須田トモ子、間宮四郎、岩下彪介、春川進之助提出の上申書各一通

一、 成田三男の現金有価証券等現在高検査てん末書

一、 押収してある次の証拠物(かつこ内はいずれも昭和四六年押四九三号のうちの符号を示す。)

金銭出納帳五冊(1)、総勘定元帳六綴(2)、振替伝票綴等一二綴(3)、売上伝票(日計表)一袋(4)、定期預金メモ等一袋(5)、家計簿三冊(6)、借入返済明細一袋(7)、借用証等一袋(8)、借用証書一袋(9)、金銭借用証書一袋(10)、権利証等一袋(11)、印章六個(12)、印章四個(13)、集計表一袋(14)、売上等メモ帳一冊(15)、売上票一袋(16)、総勘定元帳(四三年)一綴(17)、固定資産台帳一綴(18)、振替伝票綴八綴(19)、念書一通(20)、金銭出納帳二冊(21)、保険料領収証一袋(22)、所得税確定申告書(四一年分)一通(23)、所得税確定申告書(四二年分)一通(24)、所得税確定申告書(訂正申告分)一通(25)、所得税確定申告書(四三年分)一通(26)、一人別関係書類綴一綴(27)

(法令の適用)

1  判示各事実につきいずれも所得税法二三八条(いずれも懲役刑および罰金刑を併科)

2  併合罪につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項(懲役刑につき第一の罪の刑に加重)

3  労役場留置につき同法一八条

4  執行猶予につき同法二五条一項

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 守谷芳)

別紙第一 修正貸借対照表

陳恭子 昭和41年12月31日

〈省略〉

別紙一 修正貸借対照表

陳恭子 昭和42年12月31日

〈省略〉

別紙三 修正貸借対照表

陳恭子 昭和43年12月31日

〈省略〉

別紙四 税額計算書

陳恭子

〈省略〉

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